第10章 ホワイトデー
-Mside-
「わぁぁ♡可愛い♡」
「ナッツ抱っこしてる!」
「え?これ作ったの?3人で?」
ホワイトデーのお返しをそれぞれの恋人から受け取った3人が、嬉しそうに目を輝かせてキャッキャしてる。
可愛い可愛いとはしゃぐ3人がとても可愛い。
平和なその光景を眺めながら、喜んでもらえたことにホッと胸を撫で下ろした。
バレンタインのすぐ後
「あっちの3人が手作りしてくれたんだから、こっちも3人で何か手作りしようよ!」
と、言い出したのは雅紀だった。
「いいねいいね!大賛成!」
翔がすぐさま賛成して。
「いや、ちょっと待て!!」
もちろん俺は止めたよね…
だって翔にお菓子作りなんて無理だろ!
悲惨な状況しか想像出来ない!
雅紀が人並み以上に料理が出来るのは知ってるから、俺と雅紀の2人なら問題はないだろう。
でもそこに翔が入るとなると、戦力的にプラマイゼロ…むしろマイナスになりかねないぞ。
雅紀だって調理実習で翔の不器用さを目の当たりにして絶句してたじゃん!
ニノがいないと大変なんだよ。
でも今回はニノは誘えないだろ。
でも雅紀は俺の言いたいことは分かってるとばかりにニッコリ笑うと、これ見てとスマホの画面を見せてきた。
「可愛いクッキーの型を見つけたんだよ!」
そこに写っているのはクマのクッキー。
クマがアーモンドやハートのグミを抱っこしてて可愛らしい。
「クッキーの型抜きくらいなら翔くんでも出来るでしょ?」
なるほど。
そこは雅紀も考えた上での提案なのか。
確かにクッキー生地を先に作っておいて、翔には型抜きからやってもらえば、後はオーブン任せだし被害はなさそうだ。
「可愛い!カズが喜びそう!」
翔がやる気に溢れてるのが若干不安を感じさせるけど。
「バレンタインの時、あの3人が楽しそうで羨ましかったんだよね~。俺もみんなとワイワイ何かを作りたい!」
ああ、雅紀はそういうの好きそうだよな。
素直に羨ましいと言えてしまうのが何とも雅紀らしくて微笑ましい。
まぁ、どっちにしろ俺は智に何か作るつもりだったし。
雅紀の言う通りみんなでワイワイ作るのも楽しそうだ。
「……じゃあ、みんなで作りますか」
「やったー!」
大惨事にはならないだろう。たぶん。