第9章 バレンタイン
「ねぇ、この模様はどうやって描くの?」
「これ?これはこうやってー、で、こうやるでしょ?」
「うん…こう?」
「そうそう。で、こうしてー」
「あ、わかった!出来た!」
「上手上手!」
聞いてみたら丁寧に教えてくれて。
智のまねっこをしながら一緒にやってみたら俺にも出来た!
うん、かなり可愛いぞ♡
「風間は出来た?」
何だか静かな風間が気になって声を掛けてみたら、風間は難しい顔してチョコレートを睨んでた。
ひょいっと覗いて見たら…なんだろ?
何とも表現しにくいマダラ模様…?
「えーと…マーブル模様にしたいの?」
「ううん、ハート…」
「えっ…」
どう見てもハートには見えない…
マーブルともちがう、まさにマダラ状態。
風間って器用そうに見えてたけど、実は不器用なんだな。
意外だけどちょっと可愛い♡
でも本人は俺たちのと自分のを見比べて、シュンと落ち込んじゃって。
「何でニノたちみたいに出来ないんだろ…」
「ほ、ほら!きっと上にナッツとか乗せたら可愛くなるよ!」
「そうそう!ここにこれ置いてさ!これをパラパラってしてさ!」
涙目になっちゃったから智と2人して焦ってしまう。
慌てて智が具体的なアドバイスをしてあげて。
不器用な手つきながら言われた通りにした風間の顔がパッと明るくなった。
「わぁ…!」
うん、やっぱり智はすごい!
一気にオシャレになった!
ちょっと気持ち悪かったマダラ模様が逆にすごく凝ったデザインに見えるもん。
「すごい!ありがとう、大ちゃん!」
「どういたしまして」
「ニノも、ありがとうね」
「ううん!」
本当に嬉しそうに風間が笑うから、こっちまで嬉しくなった。