第7章 誕生祝い to Masaki
「大体ニノは……ん?どした?」
ニノが急に黙り込んだから、雅紀が怪訝そうに首を傾げて。
顔を覗き込もうとしたのか少し屈んだ瞬間、突然ニノが雅紀に抱きついた。
「え?!何?!ニノ??」
ワタワタする雅紀にはお構いなしに、ニノは雅紀の首に腕をまわして体をぎゅっと密着させる。
翔は一瞬でものすごい顔になったが、ニノのいつもと違う雰囲気に何か感じるものがあったのか、黙って見守ることにしたようだ。
翔だけじゃなく風間も智も、誰も何も言わない。
周りはザワザワしてるのに、まるでここだけ別世界みたいに静かだ。
その沈黙を破ったのはニノだった。
「……良かったね、雅紀。おめでと、幸せにね」
「ニノ…」
聞こえてきたのは、小さな小さな祝福の言葉。
その声はとても柔らかくて。
雅紀への愛に溢れていて。
雅紀に対してはいつもツンツンしてる二ノの、きっと心からの言葉は、俺でもグッとくるものがあった。
ニノは言うだけ言ってパッと離れたけど、雅紀はしばらく呆然としていて。
やがてその目からボロボロと涙がこぼれ始めた。
いや、これは泣くよなぁ…
こんな不意打ちずるいと思う。
「ニノ~~…ゔゔ、ありがどゔ~~~」
「なに泣いてんのよ!ばか!」
「だっで~~」
ばかって言うニノの目も潤んでて。
翔がその肩をそっと抱き寄せると、ニノは顔を隠すみたいにぎゅっと翔にしがみついた。
耳が赤いから照れているのもあるんだろう。
ニノと雅紀のやり取りを少し離れて見守っていた風間は、そっと雅紀に近付くとその背中に手を添えて。
「嬉しいね、相葉ちゃん」
「ゔゔ…風ぽん…」
優しく声を掛けながら、なかなか止まらない雅紀の涙を拭ってやってる。
見ていた俺までなんだかあたたかい気持ちになって。
俺も智の手をギュッと握りながら、皆ずっとずっとこのまま幸せでありますように…って。
クリスマスだから、プレゼント代わりに願いを叶えてよ…なんて。
こっ恥ずかしくて絶対口には出来ないようなことを、サンタに向かって真剣に祈ってみたりした。