第4章 生徒会
…ん?あれ?
落ち着いたら気付いた違和感。
「そういえば菊池は?お前らいつも3人セットなんじゃないのか?」
翔も同じことが気になったらしい。
そうそう、1人足りないんだよ。
生徒会の1年生トリオ。
「別にセットじゃないですよ。生徒会以外ではバラバラです」
「へー、そうなんだ」
あっさり答える増田に、翔はそれは知らなかったな…なんて妙に感心してる。
確かに増田と上田と菊池…3人のタイプは全く違う。
そんな全然違う3人の唯一の共通点は翔のことが大好きだってことで。
好き過ぎて生徒会にまで入ったやつらだ。
「でも今日のこれは生徒会の話なんじゃないのか?」
「まぁ、そうなんですけど…今回の件についてはあいつとは意見が合わなかったというか…」
翔が尋ねると、急に増田の歯切れが悪くなった。
「あいつは俺たちとはちょっと違うんですよ」
上田はちょっと困ったような顔をして肩を竦めた。
「ふーん…?」
翔は曖昧に頷いてるけど、あれ絶対分かってないだろ。
俺には上田の言う“違い”が分かる。
分かってしまう。
増田と上田の翔への想いは、尊敬や憧れだ。
でも菊池は違う。
もちろん尊敬してるだろう。
憧れてもいるだろう。
でも違うんだ。
菊池のそれは、恋愛感情だ。
かつては自分も翔に対して同じ感情を抱いていたからよく分かる。
それに親友として翔との距離が近かった俺を、菊池はあまりよく思ってなかった。
さすがに直接何か言われたり、されたりしたことはないけど。
刺さるような視線を感じたことが何度もある。
嫉妬と羨望の入り交じったそれは、どう捉えても好意的なものではなかった。
それで確信したんだ。
そんな菊池だ。
いくら翔を生徒会に呼び戻すためとは言え、恋敵であるニノに頭を下げるなんてしたくなかったんだろう。
………本当にニノが生徒会に入っても大丈夫なのか?
どう考えても菊池はニノを歓迎してないだろ。
もちろん何かあれば翔が守るとは思うけれど、こと色恋に関しては異常なくらい鈍いからな。
何も起こらなきゃいいけど…
まだ仲良く引っ付いてる翔とニノを見ながら、この嫌な予感が当たらないように祈るしかなかった。