第4章 I feel frustrated Whiteday
「…おい」
「んー…」
「酒零れるぞ」
そう聞こえたかと思えば、グラスを取り上げられてしまったようだ。
どうやらグラスを持った私の手元が危なっかしくて今にも傾いて零れてしまいそうだったらしい。
「やだ、まだ飲む」
手元はそれを求めて空を彷徨う。
ローがグラスをどんどん遠ざけるからいつまで立ってもそのグラスを掴めない。
「この酔っ払い」
「意地悪、だって美味しいんだもん」
ローと一緒に飲むからー
小さくはにかんで、貴方を見つめた。
するとローはグラスを持ってシャンパンを喉へ流し込む。
「ちゃんと全部飲めよ」
「っ!…⁉」
なんでそんな事言われたのかと思えば、ローの含んだシャンパンが口移しで私の口内へ渡る。
予期せぬ出来事に全て飲みきれなくて少し零してしまったけど、ローはそれさえ器用に舐めとって、そのまま私の唇を奪った。
「んっ…ふ、んん」
頭の後ろに手を添えられ、もう片手は私の顎を固定される。
息が苦しくなってきてもそうやって抑えられては抵抗出来ないから、私はだんだん涙目になってきて。
「んふっ、ふ、…っ、!」
ローの事しか考えられない。
私とは違って余裕綽々なローの表情がちょっぴり悔しい。
やっと解放された頃にはもう、私は完全に骨抜きにされていた。
「はぁ…はぁ…」
何だか意識が朦朧としている事さえどこか気持ちが良くて。
頭がふわふわして、まるで夢を見ているみたいな。
ーソファでやるのも悪くねぇが、背中を痛めるな。
配慮した結果、やたらと大人しいエリナを抱きかかえ、ローはベッドへ向かう。
エリナをゆっくりベッドへ倒した時だった。
「……おい」