第2章 安土と越後の姫
佐助「(ああそうか・・・
たしか葵さんと謙信様は・・・)」
上司と友人の間にはある契りが発生していることを、
佐助は思い出していた。
もしかしたらワームホールが発生しても、
葵が五百年後に行かなかった理由、
それは彼女がワームホールにすら、
謙信の物という認識をされており、
五百後の世の方が、
むしろ彼女を異物としてみたのでは、
ということだった。
もし仮にワームホールが発生して、
葵が五百年後に行ったとしても、
契りを結び、謙信しか受け付けない、
葵が五百年後の世で生きていける確率は、
ほぼ絶望的だ。
だから謙信の側から離れないことは、
葵にとって生き残るために、
必要なことだろう。
だがワームホールが、
そんな都合のいいものでないことは、
研究をしてきた佐助は良く知っている。
だからもし発生して、
飲み込まれない理由があったとしたら・・・