第2章 新しい生き方
「お待ちしておりました。主のお世話係を務めさせて頂きます、長谷部と申します。以後、ご用命の時はこの長谷部をお呼び下さい」
ひとつひとつの所作をキチッとさせながら、長谷部と名乗る人は私にまた深く頭を下げた。
ただひとつ、私が気になるのは。
なぜ、ジャージ姿なんだろうか?というところだろうか。
···ん?
えっと···長谷部?
確かさっき、こんのすけから簡単な説明をされた時、刀剣···がどうのとか言ってたけど。
長谷部って言うからには、もしかして···もしかすると?!
『へし切···とか···』
ポソリと呟けば、すぐさま目の前から返事が聞こえる。
長「主、出来るなら長谷部とお呼びください」
···嘘でしょ?!
『こ、ここここ、こんのすけ!!さっき言ってたのって、まさか、えっと···?!』
ちょびちょびと長谷部さんを指さしながらこっそり聞けば、こんのすけは表情を変えることなく···
「主のお考えの通りでごさいます。この者、刀剣より人型に生まれし者。つまり、刀剣男士でございます」
やっぱりそういう意味だったのか?!
って事は···?
『あの、長谷部さん?ここには長谷部さんの他に、どんな方達がいるんですか?』
ちょっとした興味から、他の人が聞いたらどうでも良さげな事を聞いてしまう。
長「他の者···ですか?まぁ、時代様々、種類も大太刀から短刀までのいろんな者がおりますが···」
大太刀から短刀まで···つまり、そんな多種多様な刀から生まれし人間···というのが正しいのかさえ分からないけど!
でも!
でもでも!!!
ここには私の憧れる刀がたくさんって事だよね?!
『なんてオイシイ···』
長「オイシイ、とは?」
『あ、いえ、なんでもありません』
危ない危ない···刀に囲まれる生活を想像して、うっかりヨダレをこぼす所だった。
「主。後のことは、ここにいる者に」
では···と、尻尾を大きく振りながら、こんのすけはどこかへ行ってしまった。
『後のことはって···どうしたらいいんだろう』
う~ん···と考え込むようにすれば、長谷部と名乗る人が急に生き生きとして私の前に立った。
長「改めまして本日より主のお世話係を拝命致しました長谷部でございます。これから日々、主のお世話はこの長谷部にお任せ下さい!」