• テキストサイズ

〖 刀剣乱舞 〗 ~ 風に吹かれて~

第2章 新しい生き方


『長谷部さん、私はもう・・・ひとりで勝手にどこか遠くへ行ったりしませんよ?っていうか、みなさんにお前なんて必要ないって言われない限りは、ずっとここにいます。みなさんと一緒に、ここで生きていくって決めたんですから』

一「主・・・」

勿論まだ、分からない事だらけなのも確かな事だけど。

さっき一期一振さんが言ってくれたように、少しずつみんなの事を分かればいい。

明日の事は分からない。

それは自分が経験した悲しい出来事ではあるけど、それでもこうして、自分が生きていた場所とは違う所で、私を必要としてくれる人がいる。

それだけでも、私はここにいる理由が出来たから。

そう考えながら一期一振さんを見れば、そんな私を見て彼はそっと頷いてくれる。

存在していた時代も、背負っていた気持ちもそれぞれあると言っていた一期一振さんも、他のみんなのように同じ気持ちを胸に抱えているんだと思う。

私は、自分の独特な知識の中でそれを手繰り寄せながら、広間で楽しそうに笑い合うみんなをゆっくりと見回した。

少しずつ、あの輪の中に入れたらいい。

『それより長谷部さん・・・そろそろ苦しいんですけど?』

ギュッと抱き締めたままの長谷部さんに言えば、なんの返事も返って来ず、思わず加州さんを見つめる。

加「あー・・・寝落ちてる。こりゃ、相当だな」

『えぇ?!・・・でも、こんなにも早く長谷部さんの素を見せて貰えたと思えば、良しって事でいいのかな・・・?』

加「ま、明日の朝になったらそれを本人に話してあげればいいんじゃない?多分、めちゃくちゃ慌てるだろうけどね」

・・・そうかも。

でも、それはそれでちょっと楽しいかも知れない。

とは言っても、まずはこの状況をなんとかしないとだけどね。

加「主、長谷部を運べそうな人を呼んで来たよ」

次「ほら長谷部。いつまでも主にくっ付いてんじゃないの!」

襟元を掴んでベリっと引き剥がした次郎太刀さんが、そのままズルズルと引き摺るようにして長谷部さんを運んで行く。

加「飲ませた張本人だから、いい人選でしょ?」

一「そうだね。でもちょっとあれは、可哀想な気もするけど」

フッと笑う加州さんに、私も一期一振さんも一緒に笑う。

ここへ来て初めての夜は、まだまだ長くなりそうだなと笑って、私は漸く腰を上げて広間へと戻った。


/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp