第6章 上杉の忍び(謙信ED)
忍「はぁ・・・」
謙信「平気か?」
怖くないのかという意味と、
苦しくなかったかという意味と、
二重の意味で謙信は忍に問う。
忍「へ・・・平気です・・・」
謙信「そうか・・・続きをしても問題はないか?」
続き・・・その言葉の意味が分からぬほど、
忍は子供なわけではない。
そして怖くないと言われれば嘘になるだろう、
しかしそれ以上に忍の心には、
謙信ならという思いが強かった。
忍は静かに首を縦にふり、続きを促した。
謙信はおだやかに笑うと、忍の頬をなでる。
その手で、忍の襦袢の衿に手をかけた。
忍の身体に残る痛々しい傷跡に、
謙信は眉をひそめる。
だが次の瞬間謙信はその傷跡に、
そっと顔を近づけ優しく歯をたてる。