第6章 上杉の忍び(謙信ED)
忍「・・・っ謙信様・・・何を・・・」
謙信「この傷は今日から俺のものだ。
お前が気に病む必要はもうない」
忍「!!それは・・・」
謙信「この傷がついた理由を聞く気はない。
聞けば俺が穏やかでいる自信がないからな。
だからこの傷も俺のものにする。
俺がつけた傷ならば、
俺もお前も問題はないだろう?」
謙信の言葉に忍は黙って頷くしかなかった。
謙信自身が伊勢姫という、
苦しい過去を持っているからこそ、
自分の過去には触れないでいてくれているのだと、
謙信の優しさに触れた気がしたからだ。
なら今の自分がすべきことは、
その謙信の優しさを黙って受け入れることだ。
忍は謙信の手に触れ、
その手を傷跡にもっていく。
忍「もっと触れてください。謙信様」
傷も痛みも悲しみも・・・喜びも・・・
すべてを謙信に塗り替えてほしかった。