第4章 君に捧げる恋歌(今川義元)
忍「なんで・・・」
何故まだ入ったままなのか、
何故あんなことをしたのか、
何故そんな態度なのか、
いろんな思いをこめ、
忍は義元を睨みつける。
その目は屈辱と悲しみで涙に濡れていた。
義元「ごめんね・・・」
義元は優しくその涙を指で拭おうとした。
忍「触らないでよ!!」
忍は義元を拒む。
忍「あんたなんか大嫌いよ!!
優しく近づいて私のこと騙して!!
はじめからこれが目的だったんでしょ!!
最低!!」
忍は罵詈雑言を義元に投げかけていた。
その姿は歌を奏でていた時の儚い彼女とは、
何もかもが違っていた。
義元「・・・騙したのはごめん。
痛くて怖い思いをさせたのも謝る。
でも聞いてほしい。俺の気持ちを」
忍「聞くことなんて・・・」
何もないと言いかけた忍だが、
義元の見せた真剣な男の目に、
その言葉を封じこめると、
思わず静かにうなずいていた。