第39章 謎は湯煙に消える(武田信玄)
信玄「忍それでは意味がないな。
君のためにここにきたのだから」
忍「私のため・・・?
信玄様の湯治ではないんですか?」
信玄「あー・・・なんか勘違いさせたな。
無理もないか・・・姫」
忍「はい・・・」
信玄「今宵、君をここに連れてきたのは、
俺の湯治のためじゃない」
忍「じゃあなんで・・・」
信玄「君を連れて行きたかったからだ」
忍「それだけですか・・・?」
信玄「それだけだ。
たしかにここは、
俺が昔から湯治に使ってはいるが、
俺の病は君が治した。
今は湯治で使う気はない。
今日、ここに君を連れてきたのは、
そんな過去の俺を君に知ってほしかったからだ。
この温泉も今の俺の一部だからな。
過去の俺を作り上げた場所に、
今の俺と君でともにすごし、
そして未来と愛を語り合う。
素敵だと思わないか?姫」
信玄の言葉に、
忍はぽろぽろと涙を流す。