第39章 謎は湯煙に消える(武田信玄)
佐助「恋人との久しぶりの逢瀬の誘いというわりには、
浮かない顔をしているね」
忍「うん・・・
温泉って傷病兵の治療とか、
湯治ってイメージがこの時代あるからさ・・・
信玄様・・・どこか悪いのかなって・・・
もしかしたら病気が再発したのかも・・・」
佐助「そこか・・・
たしかに再発の可能性に絶対とは言えないけど。
でも信玄様の病が治ったのは、
一番近くにいる君がよく知っているはずだけど?」
忍「五百年後に一緒に行ったよ・・・でも・・・」
佐助「俺からは深くは言えないけど、
信玄様は君を喜ばせることはしても、
君を悲しませようとはしないはずだ。
だから君は信玄様をもっと信じてあげるといい。
俺から言えるのはそれだけだ」
忍「佐助君・・・うんそうだね。」
忍は佐助にお礼をいうと、
佐助の部屋を出た。
佐助「やれやれ世話が焼ける人たちだ」
佐助のため息が夜の闇に消える。