第38章 夜のタカは天を舞う(織田信長)
天主にて
信長「今宵はいい月だな」
褥の上であぐらをかいて座る信長は、
盃を傾けながら、
そんなことをつぶやく。
忍は褥の上で、
横になりながら、
ぼんやりと、
その月を眺めていた。
忍「あの・・・信長様・・・」
信長「なんだ?」
忍「・・・なんでもありません」
信長「・・・おい」
忍「何でしょうか?」
信長「これはなんだ?」
信長は忍の言葉に、
訝し気な顔をしたのち、
ふと視線を移動させる。
すると見慣れないものが、
視線に飛び込み、
思わず信長は忍に問いかけていた。
忍「――――っ」
忍は真っ赤になって焦っていた。
信長が忍に見せたモノ、
それは忍は光秀や三成にもらった、
春画や拷問器具の入った袋だった。