第38章 夜のタカは天を舞う(織田信長)
ほぼ同じ時刻、
信長は安土城の廊下を歩いていた。
自身の恋人である忍に会うためだ。
目的は天主でともに酒を飲むつもりだが、
あわよくば最愛の恋人と月でも眺めながら、
夜伽でもするかなどとそんなことを考えていた。
忍の部屋の襖に、
信長が手をかけようとした瞬間だった。
部屋の向こうから、
忍の艶めかしい声が、
信長の耳に聞こえてきた。
よもや自分以外の男と、
夜伽でもしているのかと、
信長の心に嫉妬の炎が宿り、
信長は怒りにまかせて、
気づけばその襖を乱暴に開けていた。
だが、次の瞬間、
信長は見たものに固まっていた。