第4章 君に捧げる恋歌(今川義元)
やがて佐助もいつの間にか、
ドロンと姿を消しており、
謙信のいう二人でというように、
義元は忍の部屋で、
忍と二人きりになっていた。
義元「へえ五百年先の世か・・・」
忍の口から告げられたのは、
自分は五百年先の未来からきたこと、
謙信の遠い子孫であること、
そしてここでは謙信ゆかりの姫兼世話役、
として通していることだった。
義元「あの歌未来の歌か・・・
どうりで知らないわけだ」
忍「すみません、
事情が事情なので言えなくて・・・」
義元「気にしないで。
たぶん俺が君の立場でもそうするよ。
まあこんな形で知ることになるとは、
思ってなかったけど」
忍「そうですね」
義元「ねえ?俺は思わぬ形で、
約束破ったわけだけど・・・
もう君の口からあの曲聞けないのかな?」
義元はそういうと彼女の唇に自分の指で触れる。
忍は赤くなりながら、
忍「よ・・・義元様が聞きたいなら、
あの場所で待ってます」
と焦るようにそう答えた。