第33章 拘束された夜(顕如)
顕如「く・・・
なんだこれは・・・」
翌日、顕如は気が付くと、
両の腕を拘束されていた。
信長によって、
安土城の牢にとらわれてはいたが、
信長の大望を見届けることと、
信長から罰を与えられたその身は、
牢の中に入れられてはいたものの、
腕や足に拘束などされてはいなかった。
だが今宵に限り、
顕如の腕は頭上で、
縄でひとくくりにされていた。
顕如「くそ・・・信長め・・・
私が気に入らぬからといって、
ふざけおって・・・」
信長へ呪詛のように、
怒りをこめた言葉を漏らす。