第4章 君に捧げる恋歌(今川義元)
義元「ふう」
夜、義元は昼間の少女を思い出しながら、
ため息をついていた。
目を閉じれば今も、
少女の姿と歌声が義元を支配していた。
もう一度あの子に会いたい、
そしてその歌声を聞いてみたいなどと、
義元はずっとそんなことを考えていた。
佐助「どうしたんです?義元さん?」
義元「佐助か・・・いやなんでもないよ」
佐助の言葉に、
義元はごまかすようにそう答える。
義元「・・・いや、やっぱり聞いてもらえる?
そうだね。お飾り当主の滑稽な独り言とでも、
佐助は思ってくれていいからさ」
義元はしばし思案したのち佐助にそう告げた。
佐助「まあいいですよ。
暇つぶし・・・
くらいの気持ちで聞いてあげます」
佐助も遠慮もせずに、義元にそう答えた。