第2章 男嫌いと女嫌い?(上杉謙信)
忍「男を知らぬのではありません・・・
知る機会をもらえなかったのです」
謙信「どういう意味だ」
忍「裳着・・・
あなたもご存じでしょう?」
謙信「!!」
女の血は穢れとすることもあり、
月の障りだけでなく初物の血を、
嫌うものもいることは知ってはいたが、
この娘の家もおそらくそのたぐいなのだろうと、
謙信はおぼろげに思っていた。
忍「私はそこで女になるはずでした」
謙信「・・・?違ったというのか」
忍「それを承ってくれるはずの殿方が、
自分は女を好かんと断られたんです。
ほかの方を探せば可能だったでしょう。
でもそんなの・・・
私にもお相手の方にも、
屈辱的なことでしかないです・・・
だから私は・・・女になれませんでした。
あなたのせいで」
忍の恨み言に、
謙信は何かを思い出していた。
謙信「(そういえばそんなことを、
頼まれたこともあったな。
だが伊勢姫を喪った俺に、
そのようなことができるかと断っていたな。
この娘はすでに不幸に、
されていたのか俺のせいで・・・)
お前は女になりたいのか?」
謙信は忍をじっと見る。