第14章 交換留学?SIDE安土(蘭丸の章)
交わりの後、
蘭丸は忍の身体を黙って清めていた。
自分がまき散らした子種も、
彼女が流したあの愛液も、
初めての証である血すらも、
何もかも残さないように消していた。
蘭丸は気を失う彼女の頭を持ち上げると、
そのまま口写しで何かを飲ませた。
するとその肢体はさらに伸びていき、
忍は完全な姿へと戻っていった。
蘭丸「・・・っ」
蘭丸は忍を起こさないように気を使いながら、
忍の腕の裏に軽く吸い付いた。
そこには一つの赤い華が咲く。
蘭丸はその華を切なそうに見つめると、
忍の身体に静かに着物を着せていった。
まるで房事など初めからなかったかのように、
ただ眠っている忍がそこにいた。
蘭丸は忍を抱きしめると、
その身体を安土城の彼女の部屋の褥へと戻す。
翌朝、目を覚ました忍は、
元に戻ったことを喜んでいた。
だがそこに蘭丸との交わりの思い出はなく、
それどころか忍の中から、
蘭丸との昔の思い出すら消えてしまっていた。
二人の思い出は蘭丸の中と、
蘭丸が忍にひっそりと残した、
いつか消えてしまうその赤い華のみに残されていた。
蘭丸「・・・俺も好き・・・だったよ。
君のこと・・・」
ぽつりと蘭丸がつぶやいたその言葉は、
蘭丸の目から浮かぶ一筋の雫とともに、
闇の中へと消えるのだった。
蘭丸END
おしまい