第2章 真っ昼間のにわか雨
無言で、湊のお面へと手を伸ばす。
それをそのまま上へとずらせば。
「………やっと湊の顔、見れた」
驚いたように見開かれた、瞳。
「湊の笑顔は癒されるんだ、笑ってよ」
「…………」
「湊?」
「……うん」
驚いたように揺れた瞳は、すぐにいつものように細くなり、笑顔を作る。
「美味しいね、かき氷」
「なぎ、人混み平気なの?」
「ん?なんで?」
「嫌いだって……」
そう、言えば。
そう。
でも。
「なんでかな、湊といれば、大丈夫」
たくさんの人でにぎわう花火大会。
人目を避けるように端っこの路肩へと腰をおろしながら。
湊と笑いあって食べたかき氷は、すごくすごく、甘くて。
冷たくて。
美味しかったんだ。