第2章 とうじ
「幸村が探してましたよ。どこにいたんですか?」
「秘密の場所さ」
ふふん、とでも言いたげな顔だ。
「どこでも良いですけど、お風呂上がりは風邪引きますよ」
「………なぜわかった?」
「温泉特有のマイナスイオンが駄々漏れです」
「……まい…?」
「癒され成分の塊ってことです」
「癒され成分か。それなら天女を癒しに行くとしよう」
飄々(ひょうひょう)と言ってのける信玄さまだけど、湯治に行くくらい体調が悪いってことなのか……?
「その前に幸村を癒さないとダメです。激おこぷんぷん丸でしたから」
「ぷん?」
「怒髪天を衝くって意味です」
それからしばらくの間、信玄さまは幸村をぷんぷん丸呼ばわりしたのは言うまでもない。
――本日の信玄さま――
糖への路と見せかけて湯治。