第2章 とうじ
それぞれの店が点在するエリアを鑑(かんが)みて、両端の一番遠いところから城へ向かう道中を手分けして探すことにした。
「信玄さまが甘味を買ってたら、容赦なく取り上げてくれ。最近、食い過ぎて困る」
「分かった」
あずま屋から舟森を回って、しらみ潰しに甘味屋を当たってみたけれど、どこにも立ち寄った形跡はなかった。
「信玄さま、どこにいるんだろう?」
ふと見上げた東の空が、さっきよりも少し濃くなって、少し雲も厚くなっている気がする。
(雨が降ると厄介だな)
城から一番近い最後の甘味屋へ向かおうと、動き出した途端、
「佐助か?」
「?……あ、信玄さま」
声を掛けられて振り返ると、そこに爽やかスマイルの信玄さまがいた。