第7章 壁外調査前夜
「戸惑うのも無理はねぇが、これは決定事項だ。いくら喚いても変更はねぇぞ。」
口を開けたまま、固まっているソフィアに
リヴァイは釘を刺す。
「あっ、いえ、嫌だという訳ではなくて、ただ驚いただけです。」
「お前、怖くねぇのか?」
リヴァイの忠告に当たり前だといった表情を浮かべるソフィアに、リヴァイは問いかける。
するとソフィアは、左胸に手を当てながら話し始めた。
「怖くないと言ったら嘘になります。でも、それは巨人に対してであって、死ぬことについて恐怖はありません。
…恐らくそれは、エルヴィン団長に命を預けているからだと思います。
エルヴィン団長の言葉は不思議です。
エルヴィン団長に命令されれば、なんでもできてしまうような気がするんです。
それに、私がピンチの時はリヴァイ兵長達がいてくださいます。拒否する必要なんてありません。」
ソフィアは美しい笑みを浮かべながら、リヴァイを見つめる。
この少女の強さはなんだ。
そして、自分の命に無頓着なこの危うさ。
エルヴィン、早くしねぇと
こいつはさっさと死んじまうかもしれねぇぞ、
そう心で呟きながら、部屋から出て行くソフィアの後ろ姿を見送った。