第2章 繰り返された惨劇
「あっ、ソフィアにアラン!こんなとこにいたのかよ!」
「エレン、それにミカサとアルミンも。」
「さっさと帰るぞ!」
そう言ってソフィアの手を引くエレン。
アランと二人で居たことが不満だったのだろうか。
その幼い頬を目一杯膨らませ、彼女は俺のものだと言わんばかりにソフィアの手を強く握りしめている。
ソフィアもまた、そんなエレンに弟のような愛しさを感じていた。
「そうだ、ソフィア!聞いてくれよ!今日、アルミンをいじめてた野郎どもが俺を見た途端逃げ出したんだよ!」
「だから、あれはミカサを見て、」
「なぁ、すげぇだろ!!」
「聞いてないし…。」
自慢気に鼻息を荒くするエレン。
そんなエレンの頬を宥めるようにそっと撫で、包み込む。
そして、まるで母のような声色でエレンに語りかける。
「エレンは強い子だよ。でも、私は少し心配。あなたのその真っ直ぐさが、いつかあなたを殺してしまいそうで。」
エレンはまだ10歳の子ども。
ソフィアの難しい言葉よりも、大好きなソフィアの顔が予想以上に近くにあることに嬉しさと緊張を覚えていた。
間近で見るソフィアの顔は本当に美しい。
透き通るような銀髪を持ち、その双眼には紺碧の瞳が埋め込まれている。
そして、その両の目を隔てるような高く筋の通った鼻。
ぽってりと実った赤い唇。
エレンの顔はみるみるうちに赤く染まり、爆発寸前のようだった。