第5章 調査兵団入団式
「…。以上、名前を呼ばれた者は下がってよい。」
おかしい。
自分の名前が一向に呼ばれない。
今ので、分隊は全てのはずだ。
なのに、自分の名前がどこにも入っていない。
まさか、忘れられてしまったのか?
そこで、ソフィアは誰かからの強い視線を感じた。
気配を辿ると、そこには後ろの壁にもたれかかり、つまらなさそうにこちらを見ているリヴァイの姿があった。
…もしかして。
「最後に、リヴァイ・アッカーマン兵士長以下、特別作戦班。
ソフィア・デューイ。」
「…は、はいっ。」
自分があのリヴァイ班に配属されるとは、素直に驚いた。
特別作戦班、通称リヴァイ班。
調査兵団の中でも群を抜いた実力を持っており、最強と言っても過言ではない。
それ故、壁外では前線部隊を任せられることが多く、重要で困難な作戦を遂行することもある。
リヴァイ班にとって弱者は不必要なものでしかない。
彼らこそ、人類にとっての最強の矛であり、最後の砦なのだから。
ソフィアは久し振りにプレッシャーというものを感じた。
自分は対人成績もそこまで悪くはなかったし、立体起動装置も割と器用に使える方だ。
だが、実際に壁外に出向いたことはないし、巨人と対面したのも3年前のウォール・マリアが突破された時以来だ。
本当に、自分に務まるのか。
ソフィアは動揺を隠すかのように、拳をギュッと握りしめた。