第4章 出会い
いよいよ今日は兵団選択の日。
「ねぇ、ソフィアはやっぱり憲兵団に行くの?」
ソフィアが心を許している数少ない人物であるアリアナが声をかける。
それはいたって普通の質問だ。
成績上位者であるソフィアには、憲兵団に入団する資格が与えられている。
誰でも内地での安全な暮らしを求めるはずだ。
だが、ソフィアは違った。
「いや。私は調査兵団って決めてるから。」
「どうして!?自分から命を落とすようなものじゃない!」
アリアナは思わず声を荒げた。
それに対してソフィアはあくまでも冷静にアリアナを見つめる。
「それでも守るべきものがある。そのために調査兵団に入る必要がある。ただそれだけよ。」
そう語るソフィアの目には強い意志が宿っていた。
アリアナはもう自分が何を言っても無駄だと悟ったのだろうか。
小さくため息をつき、ソフィアの手を静かに握る。
「ソフィア、確かにあなたはとても強い。アランでさえ歯が立たないくらいにね。でも、巨人と戦うってことはいつ命を落とすか分からないということ。…それでも、あなたの気持ちは変わらない?」
アリアナはソフィアの口からどんな答えが返ってくるのか、簡単に想像できた。
でも、0.1%でも彼女の気持ちを変えられる可能性があるなら、私はその可能性にかけたい。
一緒に苦楽を共にしてきた仲間に、わざわざ死ぬための選択をして欲しくなかった。
縋るようなアリアナの想いを汲み取ったのか、ソフィアは握られた手をギュッと握り返し笑顔で言った。
「ありがとう、アリアナ。あなたの想いは痛いほど伝わってる。本当にありがとう。…でも、私は戦うよ。それが私の生き残った意味。一度助けられた命を無駄にはしない。」
「ソフィア…。」