第3章 訓練兵団解散式
「ちょっと、レオー。それは失礼なんじゃないのぉ?」
普段のソフィアからは想像できないほど、間の伸びた語尾にレオは驚く。
「…おい、もう酔ったのか?」
ソフィアってこんなに酒弱かったのか?
やべぇ、結構強い酒飲ませちまったぞ。
「こら、レオ。聞いてる?」
突然腕に絡まれ、上目遣いで睨まれる。
いや、見れねぇよ…。
可愛すぎて、こっちまでその気になっていく。
「ソフィア、そ、その一回だけ、キ、キ、キスし、」
「ダメだ。」
勇気を出して、ソフィアに問いかける。
だけど、その願いはいつのまにか現れたアランによってかき消された。
「げっ、アラン…。」
「げっ、とはなんだ。何か俺に見られてまずいことでも?」
「いえいえ、そんな滅相もない!!」
「ソフィアは随分と酒に弱い。気をつけてやってくれ。」
「お、おう。今度から気をつける。」
「頼んだぞ。今日は俺が連れて帰ろう。」
「あっ…。」
「何か不都合でも?」
「い、いや、何もねぇよ。また明日な。」
「あぁ、おやすみ。」
アランは軽々とソフィアを抱き上げ、ソフィアの部屋へと向かう。
ソフィアは意識が呆然としながらもアランを認識すると、嬉しそうに首に抱きつく。
「アラン!来てくれたの?」
「まぁな、ソフィアのことが心配になって。」
「へへ〜〜。」
酒のせいもあってだらしなく笑うソフィア。
そんな彼女の様子に思わず釣られて笑みがこぼれる。
「お前が幸せになるのを必ず俺は見届ける。その時まで絶対に死ぬなよ。」
スヤスヤと寝息を立てはじめた彼女に秘密の誓いを立てる。
お前はどこまでも健気で、美しい。
それを守り抜くのが俺の使命。
もうすぐ、選択の時が迫っていた。