第3章 訓練兵団解散式
848年。
そこでは一年間の鍛錬を積んだ訓練兵達の解散式が行われていた。
「本日、諸君らは訓練兵を卒業する。その中で最も訓練成績が良かった上位10名を発表する。呼ばれた者は前へ。」
訓練兵達の顔に緊張感が走る。
「首席、ソフィア・デューイ。」
「はい。」
「2番、アラン・ベネット。」
「はい。」
あの惨劇から三年後、ソフィア達は調査兵団に入団するため、地獄のような鍛錬に耐え見事、首席とそれに続く形で訓練兵を卒業した。
「やっと、兵士になれる。」
「あぁ。」
「おじさんとの約束を果たせるんだね。」
「あぁ、その通りだ…。」
最近は雨続きだったのに、今日は澄み渡るような快晴だ。
おじさんやおばさんが、お祝いしてくれているのかもしれない。
「アラン、ここまでついてきてくれてありがとう。」
「何を言ってる、長いのはこれからだろ?」
「ヘヘッ、そうだね。」
「それに結局俺はソフィアを超えることはできなかった。これでお前を守るなんて、自分を買い被りすぎていたみたいだ。」
アランが自嘲するように笑う。
ソフィアはそんな彼の腕を掴み、自分の方に引き寄せた。
「そんなことない。アランが居てくれるだけで私は救われる。そばにいてくれてありがとう。」
心を許した者にだけ見せる笑顔。
それはアランの心にも深く刻み込まれた。
アランはソフィアの頬に指を滑らせ、優しく微笑む。
「礼を言われる必要はない。以前も言ったがお前のそばにいるのは俺の個人的な意志だ。離れろと言われても離れるつもりはない。」
「ハハッ、それは頼もしいね。」
日差しが少し強くなる。
まるで二人の会話に反応しているようだった。