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桜花繚乱!

第2章 普段の日常。/1話完結。


「屯所の朝と昔の思い出。」


「んー、…眠。」
朝一番に雪乃の口から出た一言は其れだった。

-此処は真選組屯所。
雪乃はこの場所の唯一の女隊士である。
本来、女人はNGなのだが武州を出てきたときに
「雪乃ちゃんなら、刀の腕も良い方だし。」
と、ゴリ…もとい近藤が言ったのである。

「さて、と。素振り行かないとなー…」
と、雪乃は寝巻きを着替え、刀を持って外へと向かう。
すると、不意に後ろから
「お、雪乃じゃねぇか。」
と声を掛けられる。振り向くと土方が立っていた。
「土方さん、お早うございます。」
ぺこ、と相手のほうへ向き直り挨拶をすると土方は苦笑して
「んな固くなんなくても良いぜ?」
と雪乃の頭を撫でた。雪乃も少し笑えばそのまま庭へと降りる。
いつもこの時間は素振りをしている。隊士はだいぶ集まっていた。
しかし、まだ起きていない者も居た。
いや、性格には『この場』で寝ている者なのだが。
「おい、総悟。起きろ。」
「んー…なんだよ母ちゃん…今日は日曜日だぜぃ?まったく、おっちょこちょいなんだから…Zzz。」
「誰が母ちゃんだ!!」
土方が沖田の頭を叩く。それでも沖田は起きない。
雪乃は沖田のアイマスクを少し上へと上げ、
「おはよ、沖田さん。」
と声をかけた。すると、いとも容易く沖田は目を覚まし、
「お早うございまさぁ、雪乃。」
と雪乃をそのまま抱きしめた。
途端に周りがざわつく。
「ちょ、っ沖田さ…っ!」
「其の沖田さんっつーのやめろィ。総くんって言ってたじゃねぇか。」
武州に居たころの話を出され、雪乃は赤面する。
「総悟!雪乃から離れろ、アホ!」
「あれ、そんなこと言って良いんですかぃ?『お兄ちゃん』?」
武州に居たとき、雪乃は土方を『お兄ちゃん』と呼んでいた。
だが実際、其れは真選組が結成する前の話なので、隊士達は知らない。
途端に、土方と雪乃は赤面した。
「「ああぁぁあ!其れは言うなぁァッ!!」」

沖田に蹴りと拳が見事に入ったのは言うまでも無い。
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