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【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......

第70章 初恋の終わり方


「やっぱり戻ろう」

部屋を出てしばらく歩くと北門さんにぐるんと後ろを向かされる。

でも二人を探しに来たのに......。


見ていた方向。
そこには抱きしめ合ってキスする二人の姿があった。


「ごめん......少しいい?」

「北門さ......」

いつの間にかその腕の中にいて状況を理解するのに時間がかかる。
それ以上にその体温に負けて......泣いちゃいそうだ。


私の気持ちとは裏腹に大きな手が私の頭を撫でた。
逃れたいのに振り解けない。

そんなの変なのに北門さんの方が泣いてる気がして。


「泣くのを......我慢してるよね?」

「え......」

戸惑っていると更に強く抱きしめられる。


「記憶を失くしたカズは他の人を好きになるかもしれない。今の彼はカズであってカズじゃない。なまえの知ってるカズとは違うよ......」

「そんなこと......」

この間のことで痛感した?


増長さんは好きでもない相手にあんなことする人じゃない。
でも......彼は気持ちがわからないって。


「どこで間違えたんですかね?あの日病院で決めたのに......」

彼が記憶を失った日。
あの日から既に数ヶ月が経っていた。


「記憶が戻らないのが嫌なわけじゃないんです。でも記憶のことを気にするのは覚えている私の方で......側に居れば色々思い出してふと口にすれば彼を傷つけますよね」


彼もきっとそう思ったんだ。
だから側に居ない方が幸せだとーー。


「酷いこと言ったんです。前の彼と今の彼を比べるようなこと......最低ですよね。なのに謝ってくれて『俺達の関係は何も変わらない。ずっと俺達のA&Rとしてよろしく』って言ってくれた。でもその時が一番泣きたかったんです」


自分より大切な存在だった彼。
庇って死ねるなら本望だった。

それなのに結局私は自分の感情ばかりなの?

もう泣きたい。
泣きたかったけど北門さんだって私の大切な人だ。
だからそうやって甘えるのは違う気がした。


だけど泣き虫な自分を変える程の熱。

それを忘れる方法なんて私は知らなかったーー。
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