【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第68章 見えないココロ
「みょうじさんになんて格好させてるの......?」
増長さんは自分のカーディガンを私の腰に巻いてくれた。
突然のことにどうしていいか分からず、されるがままだ。
「このまま、着替えに行こう。これ貸して」
「あ、ちょっと、カズ!」
竜持くんのサングラスを素早くかけた増長さん。
彼に手を引かれると引きずられるみたいに歩き出した。
手、手が......繋がれてる!
なんだろう、この急展開は!
思わぬ幸福に胸が高鳴るけど、あまり触れ合っているのは心臓に悪い気がする。
「写真、撮らせてください」
後ろから声をかけられて振り返ると、そこには私達より少し年上くらいの細身の男性。
どうやって断ろうか......また、過激な人だったらどうしよう。
彼と一緒の状況で騒ぎになるのは困る。
「すみません。彼女緊張しちゃうので、写真を撮れるのは俺だけなんです」
そのまま腕を引かれると抱きしめられた。
内心は大絶叫で、近すぎる距離にドキドキがバレちゃうんじゃないかとヒヤヒヤする。
赤い顔を隠すみたいにその胸元にすり寄った。
「こちらこそ、すみません......」
今度は良い人だったみたいで良かった。
パッと身体が離れると、再び歩き出したーー。
「本当にありがとうございました!」
無事に着替え終えると、カーディガンを手渡した。
「ううん、むしろ帝人が無理を言ったみたいで......ごめんね」
「いえ、楽しかったので!」
みんなの元に戻る間も私達の話は尽きない。
「二人で来てたの?」
「はい」
「沢山、声かけられた?ああいうことって当たり前なのかな......」
増長さんにも未知の世界だろうな。
慣れない雰囲気に戸惑っている様子だ。
「多分?初めてなので戸惑いましたけど、帝人さんが華麗にかわしてくれました」
「ふーん......」
「増長さんもすごかったです!ありがとうございます」
先程の様子を思い出すと、少し照れ臭い。
今日は助けられてばかりみたい。
ふいに彼の足が止まった。
「気になるんだよね......」
えっ......?