【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第65章 Andante
「バッチリだね」
「うん......」
ついに最後のレッスンが終わった。
計画を立て始めた日からすごい速さで全てが完成した。
「「お疲れさまです」」
「お疲れさま」
あっという間に明日が本番だ。
普通なら最短でも二、三ヶ月はかかる準備を、私達は一ヶ月で完成させたんだ。
「もう一度会場の確認に行こうか」
「賛成!あんまり、確認出来てなかったもんね〜♪」
「なまえチャンも、早く!早く!!」
「えっ......私はちょっと......」
「なまえ、早く〜!」
「まっ、遙日くん!」
腕を引かれて、気づけばそこに着いていた。
「私は外で待ってるので、皆さんで行って来てください」
入口が近づくと慌てて立ち止まる。
無理だ......もし顔を合わせることがあったら気まずい!
「早く行くよー!」
「行きましょう......」
遙日くんと唯月くんに腕を引っ張られる。
踏ん張る足とは裏腹に身体は徐々に前へ......。
「私はいいです」
慌ててしゃがみ込むと、ふわりと身体が宙に浮いた。
「お前はほんっとに強情だな」
見上げた先には呆れた様子の剛士くん。
私の言葉を聞いてくれるはずもなくて、彼はズンズン進んで行く。
目的地に着いたようで彼の足が止まると、乱暴に扉を開けてそのまま中に投げ入れられた。
「きゃっ!」
突然のことに上手く対処できずに尻もちをついたけどーー
えっ......ちょっと、待って!
「ったく、世話のかかる奴だな。うまくやれよ」
「剛......」
名前を呼んだにも関わらず扉はそのまま閉まってしまう。
一体、何をうまくやるの......。
むり、むり、むり、絶対に無理!
「すみません......間違えました」
顔は伏せたままで立ち上がると、慌てて扉に手をかけた。
「............て」
後ろから覆い被さるみたいに、大きな手が重なる。
それより、今......。
「こえ......」
小さいけど......出た。
見上げれば彼、増長さんも驚いているみたいだ。
「よ、良かった......!」
これは前進だよね?
何かをきっかけに声が出たら、そのまま元通りになる人も多いみたい。
すこし、安心した。