【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第64章 理想と現実
「なまえは、本当にマメだな」
百くんにそう言われたのはあの日から少し経った、MooNsの新曲レコーディングの合間のことだ。
「マメ......ですか?」
「ああ、病院にしっかり通っているから......」
彼は優しく笑って頭を撫でてくれる。
元後いえば私のせいでもあって、褒められるようなことじゃないのに。
「ありがとうございます。増長さんの力に少しでもなれていたら良いんですけど......」
「なまえの思いは伝わってる......」
増長さんが体調不良で無期限の休止ということになった今でも、皆さんは変わらず完璧に仕事をこなしている。
「今日も行くの?」
「はい。前に『一人で来ていい』と言ってくれたんですけど、あまり一人で行くのも気が引けて......もし、良ければついて来てもらえませんか?」
「うん、もちろん!!皆で行こう!!」
「暉、騒がしくするのはダメだからな」
「いいですね!早く仕事を終わらせて、行きましょう!」
それで、また......この状況?
「あの、帝人さん?」
「なんですか、なまえさん」
「私の座ってる位置......おかしくないですか?」
膝の上......やっぱり彼らもおかしい。
「前にマミリンを見る為に、慌てて帰ったことがありましたよね?」
「はい」
あの、風のように去った日だよね。
「ここに居てもらえば、忘れて帰ることはありません!!」
「......はい」
確かに、そうだろうな。
「なまえちゃんは俺が連れて帰るから、ミカちは先に帰っていいよ!」
今度は暉くんに抱き上げられた。
本当に、どうしたんだろう?
「なまえを離せ」
ひょいと百くんに救出される。
「ありがとうございます......」
これで、落ち着いたかな?
「なまえは俺の伴侶だ」
「も、百くん!?」
頬に柔らかなものが触れて......キスされた!
「音済、やりすぎだ......」
龍さんに腕を引かれて、その腕に収まる。
「龍さん......?」
でも、いつまで経っても......離れない?
驚いた表情のままで増長さんを見ていただろう。
『もうみょうじさんを離してあげて』
目が合うと彼は困ったように笑っていた。