第63章 まっすぐな恋心

『こういうのも、いいですね！』

『うん、新しい感じ？』

『あはは！』

『きっと、それは書かなくてもいいやつだよ』

『えっ？』


顔を上げると目が合って、二人で笑い合う。


一人で会いに来るようになってからは、私も筆談をするようになった。


『増長さんは字が綺麗ですね。前にも見たことがあって、その時も思いましたけど』

『そうかな？みょうじさんの方が綺麗だよ。達筆なんだね......少し意外かも』

『えっ？』

『可愛い字を書きそうなイメージだから』


可愛いって......文字だけど。

これって進歩したのかな？


『そうですか？』

『うん。でも俺はみょうじさんの字、好きだよ』


好きって......文字だけど。


『ありがとうございます。私も好きです！』


文字だけじゃないけど......。

内心ドキドキしてる。


『こちらこそ、ありがとう』


笑い合っていると、背後の扉が開いた。


「和南！」

入って来たのは40代くらいの男の人で、そのまま彼に抱きついている。


だ、誰......？


「連絡しろよ。どうして、教えてくれないんだよ！」

ただ事じゃないかんじだ。

どういう関係だろう。


でも......。


「あの、とりあえず落ち着いてください！」