【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第63章 まっすぐな恋心
この瞬間が一番嫌いだ。
「また遊びに来させてくださいね」
『うん、ありがとう』
名残惜しくて寂しい。
なにより、入院は心細いから心配で......。
増長さんの事だから、人前で気にしないふりをしていても......一人になると色々悩んでいるよね?
以前の私なら、好きなだけ一緒に居られる。
彼も、それを望んでくれるだろう。
こういう時に、好きなだけ抱きしめることも出来るんだ。
すごく贅沢だな......。
今は両手を使えても、触れることは許されない。
なんだか......切なくなってきた。
あの日、彼が目を覚ました日。
『頑張ろう』って決めて、それが実現するまでは『絶対に泣かない』って決めた。
たとえその日が来なくても私は彼が好きだから、若いお母さんになる夢も......泣き虫なところも全部いらない。
「えっと、失礼します!」
目が合えば泣いちゃいそうで、慌てて踵を返した。
いきなり泣かれたら驚くよ。
昔、竜持くんを庇って階段から落ちた時......増長さんが心配して叱ってくれたことが嬉しくて泣いてしまったことがあった。
もし、私が泣き出せばあの時と同じように慌てるんだろうな。
歩き出そうとするけど、前に進めない......?
振り向くと、何故か腕を掴まれていた。
『今度、来る時は一人でおいでよ。もちろん、みょうじさんが良ければだけど』
その文字を見て、泣きたい気持ちはすぐに吹き飛ぶ。
現金だよね......そんなことは分かってるけど。
「絶対に来ます!すぐ来ます!!」
『ありがとう。気をつけて帰ってね』
私の気迫に押されてたけど増長さんは笑ってくれて、そのまま笑顔でお別れをした。