【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第62章 With my life
病室に戻ると彼らがいた。
「泣いてた?」
声をかけてくれたのは愛染さん。
「分かりますか?」
慌てて目元を指で押さえた。
本当に皆は何でもお見通しなんだ。
「冷やしたんだろうけど分かるよ」
顔をグッと近づけられて、その距離はかなり近い。
「本当に周りをよく見てますよね」
「見てるのはなまえのことだよ」
いつも通りの様子に気持ちが楽になった。
「ありがとうございます」
そっと右手に触れた手。
それは、私の手を強く握ってくれる。
「なまえのせいじゃない。俺は信じている」
「百くん......?」
「なまえとリーダーの絆を信じている。だから是国の時より事態は深刻でも、俺達はいつも通りでいられるんだ......」
周りを見れば、確かに彼の時より深刻な雰囲気じゃない。
皆がいつも通りに増長さんに話しかけて、筆談だけど彼もそれに返してる。
なにを弱気になってるんだろう。
どうして記憶が無いかも分からなくて、大切な声まで失った彼。
一番不安なのは彼に決まってる。
私には、くよくよしてる時間なんてない。
「ふっ......」
百くんの笑い声にそちらを見上げた。
自分の体制を見れば、顎に手を当て考え込んでいたみたいだ。
「すごいな、もう前を向いてる。大丈夫だ......なまえは強い」
なんて、心強いんだろう......。
私には彼らがいる。
つばさちゃんや夜叉丸さんもいて、他にも支えてくれる人がいる。
立ち止まってなんか、いられない。
「でね、この子達が......」
明るい声が聞こえて左手を握られたと思えば、つばさちゃんと一緒に彼の前に出された。
「暉くん?」
目が合えば、いつも通りにっこり笑ってくれる。
「自慢のA&Rのなまえちゃんと、つばさちゃん!専属のA&Rが付いてるなんて俺達ってすごいよね!!」
増長さんの方を見れば、とても驚いているみたい。
『すごいね。状況を理解するのに時間がかかりそうだよ。』
書かれた文字を目で追う。
この感じ、懐かしいな。
もうニ年以上前......あの日の出会いを思い出す。
自己紹介をしたことは覚えているけど、緊張してて何を言ったかは覚えてない。