【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第62章 With my life
『さっきはごめんね。俺なにも分からなくて。』
彼がこちらを見てくれて、綺麗な瞳と目が合った。
「いえ、私の方が驚かせてすみません」
命がある。
彼が生きている。
それだけで、大丈夫......。
私は強くなれるんだ。
あの時『命はあるけど添い遂げられないのなら、自分の幸せを優先してほしい』と彼に伝えた。
彼も同じで『非現実的だけど離れたらいけない気がする』と言っていた。
何処かで嫌な予感がしていたんだと思う。
『私の幸せを優先する』
自分の一番の幸せは何だろう?
私の一番の幸せは『彼が幸せであること』だ。
絶対に声を取り戻す。
その為に精一杯の努力をする。
記憶を奪ってしまったことは、勿論だけど悔やまれる。
でも私達は初めからやり直せばいいんだから。
勿論......彼に好きな人が出来たらその時は素直に祝福したいけど、それまでは諦めたくない。
まだ何も始まってないから『彼の相手は私じゃなくていい』なんて言いたくない。
傷つくのが怖くて彼を信用できなかった。
そんな私に、信じる勇気をくれた惜しみない愛情。
彼への感謝を少しずつ返していきたい。
「みょうじ なまえです!一生懸命頑張るので、これから宜しくお願いします。仲良くしてくださいね」
ギュッとその手を握ると、笑顔で言ったと思う。
予想通り。
彼は呆気に取られていたけど、想像通りの表情も愛しい。
本来は粘り強くて根性だけが取り柄の性格。
負けず嫌いで猪突猛進。
だから今度は、私が好きになってもらえるように頑張るんだ。
私の願いはただ一つ。
沢山の愛情で誰よりこの人を幸せにしたいーー。