【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第59章 それは突然に
「この業界にいる人はそういうのに敏感だから、それなら気付いたんじゃないかな?」
「そっか......」
だったら、社内がウィッグ?
でも、毎日なんてすごく手間だし......そもそも、全ての発端は彼と私の婚約だ。
今回の件はそれから思いついたことだろうし、その前からウィッグで出勤は考えにくい。
「胸の辺りまであるロングヘアを、ショートヘアにする方法......」
無理、分からない。
でも髪の短い二人は、靴で誤魔化してもきっと身長が足りない。
「『短い』は主観だよね?みょうじさんならショートヘアを連想する。それは、同性だからかもしれないよ」
「えっ?」
「女の子なら長さに詳しいけど、男の人が細かく伝えられるかな?本当はショートよりは少し長めだったとか?」
そっか、それなら......。
「ミディアム......」
「どれくらいの長さ?」
「ミディアムなら肩から鎖骨......」
ぽつりと言って後ろを見れば、彼は満面の笑みだ。
「俺はそういう子、見たことあるけど......」
「見たことある......?」
「そう、みょうじさんだよ。俺が迎えに行った日」
あの日の、私......。
「そうか......ボブ!」
振り向いて彼に飛びついた。
あの日、私はアレンジで長い髪を短く見せていた。
「ありがとうございます。解決したかも!」
「むしろ、感謝するのは俺の方だよ。ありがとう」
本当に良かった。
これで、全てが終わる。
「明日もう一度、あのスタッフさんに話を聞きに行ってきます!」
「そうだね。俺の空き時間に一緒に行こう」
「近いですし、一人で大丈夫ですよ」
「関係を隠さなかったから、みょうじさんを危険な目に合わせた。でも側にいることをやめないって決めたから、俺は俺のやり方でみょうじさんを守りたいんだ」
「これは......引いてくれないやつですか?」
「うん、譲ってくれる?」
「は、はい......」
「次は、俺も洗って」
シャンプーを手につけると、そのまま髪に触れた。
「ネコちゃん?少しギザギザだから、オオカミさん?」
「ふふっ、人の髪で何してるの?」
「楽しいです!うさぎさんは耳が短い?でも増長さんはワンちゃん?垂れ耳は難易度高め?」