【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第59章 それは突然に
「それ買います」
えっ?
なんて......。
「お買い上げありがとうございます」
店員さんはにっこり笑顔。
「ちょっと待ってください!さっきの話の流れ......あれ?」
「俺と一緒にいる時に履いてよ。大丈夫、転ばないようにちゃんと支えてあげるから。全部解決して堂々と歩こう」
「えっ......本当は背の高い人が好み?」
「違うよ、好みはみょうじさん。興味があるなら我慢しなくていいのにって......最近色々あったからね。お詫びと、デートのお誘いも兼ねてかな?」
「ちょっと待ってください!」
あれ......やっぱり、交渉能力が低すぎる?
「ありがとうございます......」
お店を出ると彼にお礼を言った。
「ふふっ、プレゼントを贈られた人の顔じゃないよ。不本意って顔に出てる」
「だって......」
「前に『今度はもっと甘えてほしい』って言ったよね?」
「言われましたけど......」
「それなら、可愛いく喜ぶ顔が見たいな。見せて?」
首を傾げてこちらを見つめる彼は、とてつもなく可愛い。
「ありがとうございます。大切に履かせていただきます!」
出来る限りの笑顔でそう言った。
「可愛いから、出来ることは何でもしてあげるね」
「そんなに優しいと、変な人に引っかかりますよ......」
「ふふっ、大丈夫だよ。引っかかった子はすごく良い子だったし、そもそも俺はこういう人間じゃないから。みょうじさんだけだよ」
「本当にいつも幸せにしてくれて、ありがとうございます。私もこんなに好きなのは、後にも先にも増長さんだけです!」
見上げると、ぽつりと頬に滴が落ちる。
「雨......?」
降り始めたばかりなのに、雨足は一気に速くなった。
大きなため息が聞こえて、そのまま覗き込むように唇に柔らかなものが触れる。
ここ、外なのに!
「顔真っ赤だね......大丈夫だよ。こんな雨じゃ見えないから」
そっか......。
みんな、慌ててるもんね。
「でも、少し走ろうか。びしょ濡れになっちゃうね」
「えっ!ちょっと待ってください!!」
手を握られると、引きずられるみたいに走り出したーー。