【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第59章 それは突然に
「そんなことしてませんし、なにも聞こえません!」
慌てて耳を塞いだ。
多分、お仕置き......。
きっと、お仕置き!
「ふふっ、必ず解決するわよ!ヨロシクね〜♪」
彼はこちらに手を振ると、行ってしまった。
「なにを話してたの?」
「私の背は何をしたら伸びますか?」
「難しいんじゃないかな。確か高校生の時にはあんまり伸びてないって......そもそも必要ないよ」
「はい!小学生の時は高かったのに......うーんと、厳密に言えば背を高く見せたいんですけど」
どうして、あのスタッフさんは『背が高かった』って言ったのかな?
「やっぱり、靴かな?」
でも、ヒールじゃなかったって......。
「高い靴あんまり好きじゃないよね?」
「嫌いじゃないんですけど、都会だと怖くて。ヒール以外で、背を高くする方法って何かありますか?」
「そうだね......」
考え込んでいた彼が、はっとした顔をした。
「いい方法があるよ!」
「えっ?」
「こちらは、どうですか?」
「ありがとうございます。背が高くなりましたか?」
「うん、いつもより距離が近いね」
彼の言った『いい方法』
私達は実際に靴屋さんに来ていた。
そのおかげで、分かったことがある。
「でも、見た感じは分かりませんね!」
「そうだね」
外から見たらぺたんこのパンプスなのに、実は中が底上げされていて6cm高くなってる。
「澄空さんよりちょっと低いくらいかな?」
「もし、つばさちゃんが履いたら170cm超えますもんね!」
「160cm後半でも一般的には背が高いよね。170cm以上あればかなり高いと思うよ」
他人を装う為のカモフラージュ、それが仇になったのかな。
「お客様には、こちらの方が可愛いらしいと思います」
店員さんのセールストークが素晴らしい。
「あの、私......」
さすが、プロだ。
あれよあれよという間に履かされていた。
その靴はピンクベージュのスエードパンプス。
可愛いけど、ヒール。
「お客様には、7cmがおすすめですよ」
「7cm......?」
結論、都会でヒールの靴を履ける女性はかっこいい。
「ふふっ、確実に転ぶね」
「分かりました?」
無理って、顔に出てたかな?
彼はおかしそうに笑ってる。