【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第58章 未来を見据えて
「きゃあああっ!」
「な、なに!?」
すぐに辺りは騒然とする。
瓶......割れて、何かが飛び散った?
そんなことよりーー
「誰もかかってませんか!?」
出来るだけ側で見ていてよかった。
「俺は大丈夫......それよりもなまえチャンが......」
「よかった......私は大丈夫です」
誰にもかからなくてよかった。
「こ......これ、投げたの誰?やっていいことと悪いことがあるだろ!」
普段温厚な増長さんの鋭く尖った声が辺りに響いた。怒っているのに不安気で、身体が震えている。とにかくこの状況は良くない。
「大丈夫ですから......」
落ち着かせる為にそう声をかけるけど、動揺しているようで効果はないみたいだ。すかさずスタッフさんが集まってくる。
「シャワールームがあるのでこちらにどうぞ!」
「ありがとうございます......きゃっ!」
返事をしたと同時に身体が宙に浮く。
「大丈夫です。歩けますから」
色んな人が見てるのに。
「いいから。場所を教えてください」
「ここから出て突き当たりを左に行ってください。右手にあります」
「ありがとうございます。皆......怪しい人がいたら絶対に外に出さないで!」
増長さんはそのまま走り出した。
「しっかり掴まっててね」
「あの......濡れてる所に絶対触らないでくださいね」
なるべく当たらないようにするけど、見上げた悲しそうな表情に胸が痛む。
「俺のことは気にしなくていいから」
部屋に入ると一気にシャワーをかけられた。
「ごめん。替えの服はどうにかするね」
「きっとただの水......」
「そんなこと分からないよ!」
身体を近づけないようにしていると強引に抱きしめられた。慌てて振り解こうとすると更に強く抱きしめられる。
「俺だってみょうじさんに何かあったら......」
私だけじゃない。増長さんも同じように不安なんだ。
「でも......逆でも同じようにしてくれますよね?」
増長さんだって逆の立場なら、自分の身を挺して私を守るだろう。
「二人で遭難した時あの時助けてくれなかったら、今私はここに居ません」
「みょうじさん」
震える手をぎゅっと握った。
「大丈夫です!ただ気になることがあるので、くしゅんっ!」