【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第56章 僅かな確証
彼の視線の先、視界に映るそれ。
咄嗟に北門さんを抱きしめた。
ーーガシャーンッ
花瓶の割れる音、それが辺りに飛び散る。
「怪我はないですか?」
慌てて彼の様子を確認する。
「俺は平気だけど......」
彼の言葉に安心して、そのまま走り出した。
「はぁ......はぁ......」
花瓶が落とされた部屋まで来たけど、人の姿は見当たらない。
でも、あの時......。
もしかすると、私は思い違いをしているのかもしれない。
「お疲れさまです。なまえさん」
突然声をかけられて、肩が跳ねた。
顔を見てほっとする。
「弥勒くん!お疲れさまです」
こちらを見た彼は、目を見開いているような気がする。
「それ、どしたんですか!」
「え......」
その視線を追えば、腕から血が流れている。
「失礼します!」
「えっ!」
彼は軽々と私を抱き上げて、歩き出した。
「お疲れさまです!遙日くん、唯月くん」
「お疲れさま〜!ってどうしたの!?」
「なまえさん、何があったんですか?」
傷の経緯を話している間に、弥勒くんが腕の手当てをしてくれる。
「すごい、ありがとうございます!」
そこには綺麗に巻かれた包帯......すごく器用だな。
「いえ、最低限の処置です。病院に行きましょう」
「病院......?軽い傷ですから......」
「ダメです」
「でも「ダメです。行きますよね?」
肩を掴まれたと思えば、心配そうな顔をする彼。
ううっ......。
「行かせていただきます......」