【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第55章 To cherish
結局、昨日は龍さんが帰って来てから会社に戻った。
彼は、はぐらかされたふりをしてくれて......このまま諦めてくれたらいいんだけど。
つばさちゃんに伝えたいことがあったけど、どうやら姿が見えない。
「なまえ、澄空は?」
「剛士くんもですか?私も伝えたいことがあって......探して来ますね!」
その場を離れようとすると、腕を掴まれた。
「俺も行く」
何処かから声が聞こえてきた。
「ごめんなさい。何も知りません......」
この声、つばさちゃん......?
なんだか、不安げな声色だ。
「知ってることを教えてほしいんだけど......」
私達は上下並びでそちらを覗いた。
「一緒に居るの、増長だな」
「本当ですね」
つばさちゃんは壁ドンされて怯えてるけど。
それに対して、増長さんは余裕の表情だ。
「なにか、トラブルですかね?」
「お前の方がよく知ってるだろ......」
そう言うと、怪訝そうに見られる。
「やだなー、知りませんよ」
「増長の気持ちに比べたら、お前はそれほどアイツに興味ないよな?」
「ええっ、薄情者みたいに言わないでください!そんなことないです!!」
本当になんの話だろう?
悪いと思いつつ、聞き耳を立てた。
「いや、私は何も......」
「大抵のことなら引いてあげられるんだけど、今回は引けないんだ。彼女なら、まずは澄空さんと夜叉丸さんに相談するよね」
これはきっと、剛士くんに聞かせたらいけない話だ。
慌てて彼の両耳を塞いだ。
「なんだよ!離せ!!」
案の定、彼は暴れる。
「でも、今回は何も聞いてな......「俺がみょうじさんとうまくいかなくなったら、澄空さんの願いも叶わなくなるよ。彼女を一番幸せにできるのは俺だから」
本当にそうだけど、なんだか彼が強い。
「分かってますけど、教えられることは......」
「それなら、やめるよ」
「ありがとうございます......」
彼の言葉につばさちゃんは安心したようだ。
そちらに集中していると、
「離せ!」
「きゃっ!」
両手を掴まれ、壁に縫い付けられる。
振り解けない!
暴れていると衝撃的な言葉が聞こえた。
「今日限りでアイドルをやめるね......今までありがとう」