【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第55章 To cherish
「しーっ、しーっ!」
「赤い顔で焦る姿も、本当に病みつきだよ......」
「勘弁してください!」
本当に翻弄されてばかり。今だって綺麗な笑顔でクスクス笑っている。これは完全に遊ばれてる。
「これ、お願いしていいですか?」
突然、目の前に大きめのダンボール箱が現れた。運んで来てくれたのは他の部署の女性みたいだ。
「はい、ありがとうございます」
さっそく移動させようと箱を持ち上げるけど、増長さんがそれを取ろうとする。
「手伝うよ。簡単なことならやらせて」
「仕事ですから......」
「いいよ、どうせ俺はオフだから」
「それなら、おうちで休んでてください」
今の私は増長さんを早く家に帰さないといけない。私の意見を聞く気がないのか、話している間も箱の引っ張り合いが続く。本気を出されたら太刀打ちできないだろうけど、何やら増長さんはこちらを見て楽しんでいるようだ。
「もう、見過ぎですから」
「そうだね、可愛いから」
「可愛いくな「みょうじさん?」
「このルール......まだ続いてたんですね」
あの魔のルール。クスッと笑った増長さんが箱に添えた私の手に自分の手を重ねてきた。
「今日はツンツンしてるんだね。そういう姿も新鮮だけど、二人になったらデレデレしてくれるの?」
爽やかな笑顔で離してくれる気配は絶対にない。力を入れられて、力を抜いての繰り返しだ。
「ツンツン?デレデレ?そんなことないです。普通ですよ」
思い切り引っ張ってみるけど、力強く元の位置に戻される。
「まぁ、みょうじさんならなんでもいいけどね。俺はお姫様をランチデートに誘いに来たんだよ」
「えっ?」
本当の目的はそれなのかな。でも迂闊に一人で出歩くのは心配だ。今日だって一人でここまで来たんだろうし。
「お姫様ではないですけど、今日って他の人は何してるんですか?」
「そう言うと思った。みんなは仕事......龍広は用事があるって言ってたから、家には居ないんじゃないかな?」
そうか。今増長さんを家に帰しても、一人きりになってしまうのか。