【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第48章 素直な気持ち
「触らなかったのは、我慢しないと何するか分からないから。勝手にやきもち焼いて一方的に傷つけて本当にごめんね」
そのことが分からないままだった。
「謝らないでください、お互いさまですよ。でも、一体何に怒ったんですか?」
あんなに取り乱すなんて、余程のことだった?だろう。
「夜叉丸さんから『好き』って言われて、聞き返されたら『すごく好き、大好き。』って言ってたよね?一緒に住んでても手を出さなかったんだから、考えれば分かるのに......『好き』って言葉に冷静になれなかった......」
あれか......。
あれが原因だったんだ。
「それは、別の人のことを言ったんです」
「そうだったの?」
「いや、もういいんですけど......!」
沢山傷つけてしまったよね?
最後くらい、ちゃんと向き合わないといけない。
「ちゃんと好きで付き合ってましたよ......フリとかじゃないです。こんな私を選んでくれてありがとうございました」
「え......?」
「あの時、聞いてましたよね?私は増長さんが思っているような人間じゃないです。それに、増長さんとのことは周りの人には言えない気持ちでした。だから夜叉丸さんに言えた時、スッキリしたんです。
彼だけでもこの気持ちが存在していた事を知っていてくれるって安心したんです。付き合えたことは無駄じゃなかったって思えます」
久しぶりにちゃんと目を見て話す気がする。
最近は普通に話していても、前ほど合わなかったから。
「A&Rとしてこれからも側で応援しています。今更だけど本当に伝えられて良かったです!」
身体を起こせば大分気分も良くなった。
「今日は本当にありがとうございました。下まで送りますね」
そう言ってゆっくり立ち上がる。増長さんとあの日の話ができて、気持ちが軽くなったおかげかもしれない。もう大丈夫だ。
「愛染さんが『和南は下心なく誰にでも優しい』って言ってましたよ。今日のことで更に納得しました。別れた私にまで優しくしてくれるので」
振り返ると抱きしめられた。