【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第47章 本当の自分
「カズと何かあった?」
「竜持くん?何もないですよ。」
翌日はみんなでのレコーディングだった。
彼はいつでも周りをよく見てる......すごいな。
昨日は勿論、今日も彼が言いたかったことを知ることはないだろう。
昨日の様子だと、話しかけられたくないよね。
きっと、何か悪いことをしてしまったんだ。
何か、傷つけるようなこと......ちゃんと考えないと。
多分、いつかはきっとこうなるって付き合い出した日から分かってた。
仕事はいつも通りこなすのは当たり前なんだけど、やっぱりこの話はしておいた方がいいよね?
私は意を決して彼に話しかけた。
「増長さん。午後からの撮影、付き添いはつばさちゃんにお願いしますね。」
「どうして?」
「ごめんなさい。昨日、何か私が傷つけるようなことをしてしまったんですよね?私より彼女にお願いした方が、増長さんも気が楽かなと思いまして......。」
何よりも、彼が仕事をしやすいことが第一優先だもんね。
気まずい雰囲気を感じさせないように笑ったけど、彼の表情は険しかった。
「何が理由か分からないことを、簡単に謝るの?」
え......?
その声はいつものような優しい声じゃなくて、驚きを隠せない。
「どうして......いつも自分の気持ちを押し殺して、場を上手く収めようとするのか聞いてるんだよ!」
心臓が跳ねたのが分かった。
今までに感じたことがない程、彼は怒っている。
「それは......。」
「カズ、何があったか知らないけど言い過ぎ。」
「竜持くん......。」
すかさず彼がこちらに来てくれる。
その大きな声に、周りの皆も戸惑っているようだ。
いや、でもこんなに怒るなんて......。
「違うんです!きっと、私が怒らせるようなことして......。」
でも、理由が何かを知らないといけない。
謝罪して......謝罪して、私はどうしたいんだろう?
目の前の彼は怒っていて、私はいずれこうなることが分かってた。
それで謝って......どうなるんだろう?
「本当にそういう所が理解できない。好きでもないのに好きなふりして......もういいよ、別れてあげる。」
彼は部屋から出て行ってしまった。