【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第37章 Remember !
夜叉丸の言葉に皆が思うことがあっただろう。
先程までの『会場が小さくなって残念』『演出に降りられて残念』という空気は彼らから一切無くなったように思える。
ファンありきのアイドルだ。
応援してくれている皆を大切にしないと元も子もない。
「身近にバカな歌手がいるのよ。軽いレッスンでも常に全力投球。無駄に声量あるのに全力だから、うるさくて......歌い方が上手いから喉は潰さないけど、もっと賢く仕事が出来ないのかしらと思うわ。音楽バカなのよ、音楽がなかったら死ぬわね」
「元気にしてるのか?」
「その節はどーも。川で助けてもらって、あの時は泣いてたけど今は元気過ぎるくらいよ」
「ごうちんの天使......歌手だったの!?」
「確かに、あの時何かの撮影してたもんな」
「詮索すんな」
「連れてこようとしたんだけど、ギリギリでフラれちゃったわ。今は他の男のところよ、ヒドイ女よね」
「まだ、近くに居るんですか?」
「カズ、音楽が好きって......無いと生きられないなんて、まるで......」
「居たらどうするの?今この場を離れることは認めないわよ」
夜叉丸は彼らにビシッと指を指す。
「とにかく、アナタ達は大事なことを思い出しなさい!」
「俺たちいつの間にか大事な事を忘れてた」
「会場や演出。何だか外からの見え方に意識が行き過ぎていたかもしれません」
「うん。今ある環境は当たり前じゃない」
「まっ、剛士は元々気に入ってなかったみたいだけどね。ああいう演出」
「ああ」
「つばさ、ごめん。あと頑張って会場探してくれてありがとう」
「いえ、ジャパンドームでライブが出来なくて本当に申し訳「いいんだ。これは少なくとも澄空のせいじゃない」
「うん、年末ライブの会場は決まった」
「改めてカウントダウンライブに向けて、準備を進めよう!」
「ありがとう、つばさ」
「よーし!ジャパンドームが吹っ飛ぶくらいのエモーションをこのライブで見せつけちゃおっ!」
「すぐ新しい言葉使いたがるー」
「皆さん、ありがとうございます!」
阿修のいつもの様子に皆が笑顔になった。気付けばその場にはつばさと彼らだけ。
「あれ......夜叉丸さん......?」
唯月の言葉で皆が夜叉丸の方を見る。彼の姿は既になかった。