【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第37章 Remember !
夜叉丸は部屋に入るなり、つばさが握っている受話器を取り上げた。
「もしもし、お電話代わりました。ワタクシ夜叉丸と申します。申し訳ないのですが、そちらの支配人の篠原様お願いできますか?」
「なんで、朔ちゃんがここに......?」
「夜叉丸さん......。」
「31日のJDCホール抑えられたわよ。」
彼がそう言ったのは、その後すぐだった。
「夜叉丸さんどうして!?」
勿論、その場の皆が驚いている。
「今は細かいことは後回し。先にやる事があるでしょ?」
そう言うと彼はスタッフに的確な指示を飛した。
「夜叉丸さん......一体どういうつもりなんでしょうか?」
「今回の件は無関係かもしれないな」
演出チームはハコが小さくなり、考えた演出が出来ない為降りてしまったようだ。
「演出チームが降りてしまったということは、また0からライブは作り直しってことですね」
「作り込んでいた映像も使えないってことか......」
「そうだな。あの映像は機材も演出も全て揃っていないと意味がない」
「フリもまた作り直しだな」
「えぇっ!?」
「映像とシンクロした物にしていましたからね......」
「皆さん、すみません」
「あらあら、随分偉くなったものねぇ。ついて来なさい」
その声に続いて皆が屋上に移動すると、夜叉丸が切り出した。
「あなた達、何か勘違いしていないかしら?
ドームでライブができる確約なんて誰がしたの?」
その言葉に彼らはざわつく。
「アイドルにとって会場が用意されて、そこに見てくれるお客様がいて、ライブが出来るということがどれだけ恵まれていることか忘れているんじゃない?」
その言葉を放ったのが彼らを育てた夜叉丸だからこそ、一層重みが増しただろう。
「当初の予定より会場が小さくなったことであなた達の価値まで小さくなってしまうのかしら?アイドルの基本は何だったかしら?
あなた達に......一番最初に教えたはずよ!」
「ファンに......「そう!ファンに喜んでもらうこと。
日本中、いえ......世界中のファンを笑顔にする事。最先端の演出かどうかは関係ないわ。一つ一つのパフォーマンスに心を込めて、誠実に向き合うこと以上に大切な事はないわ」