【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第36章 見つめていたい
脱出シーンは勿論、危険なもので僅かなタイミングのズレが大事故に繋がる。
不動が頑張る姿を見守る彼ら。
それは真剣なものだが、それ以上に自分を追い込んでいるように感じる。
運動神経が抜群な彼でもそう簡単には成功しない。
遂には、スタッフが戸締りした後に忍び込んで練習をする始末。
階段の手すりに飛び乗り、ヘリから垂れ下がるロープはしごに大ジャンプ。
はしごを掴めるようになったのは練習の成果だが、その手はマメやら傷だらけだった。
「おい、おい。一人の時に大怪我でもしたらシャレにならないぞ。」
声をかけたのは水を取りに戻って来た愛染だった。
彼は周りをよく見ているので、気づいていたのだろう。
それは皆が同じで、他のメンバーが聞き耳を立てていたようだ。
愛染がシャッターを開ければ、押し合いへし合いで倒れ込んで来た。
「たくっ、みんなに黙って練習するのはルール違反なんじゃない?」
「一人で抱え込むのは良くないですよ。」
「ふふっ、帝人が言うと妙に説得力があるね。」
「もっと、俺たちを頼れ。」
「明謙ちん。この映画、僕たち14人で成功させるんだからね?」
「みんなで一緒に力を合わせて撮影を成功させよう!」
「みんな......ありがとう!」
そこからは、本当の意味で一丸となって稽古が始まった。
映画はとてもいいものになった。
不動がキラキンに入ったのは、一番輝ける場所がキラキンだったからに決まっている。
それを彼自身は知らなくても、今回のことで少なからず自信がついたのは確かだろう。